
↑ 電波時計の電波を発信する福島県都路村の大鷹鳥谷山送信所
パイロットにとって『時刻』はとても重要なものですが、最近は小型の電波時計が普及し便利んになりました。
しかし、時刻合わせをしなくても正確な時を刻むはずの「電波時計」が、東日本大震災の影響を受けて、特定の地域で誤差が出ているようです。
電波時計に時刻などの情報を届ける「標準電波」送信所が、東京電力福島第1原発事故の避難指示の対象区となり職員が全員退避してしまい停波、現在は無人化して運用できなくなっているからです。
電波時計というのは、日付や時刻などのデータを含む標準電波を1日に数回、自動的に受信して補正することで校正され、正確さを保っています。
送信される時刻データは『10万年に1秒の誤差』と言われる原子時計に基づいて、福島県の大鷹鳥谷山(おおたかどややま)と、福岡・佐賀県境の羽金山(はがねやま)の2カ所から発信されています。送信所から1.000kmくらいの範囲内ならば安定的に受信できるので、今までは二つの送信所で全国を網羅していました。
電波時計を運用する情報通信研究機構によりますと、このうち大鷹鳥谷山は福島第1原発から約17kmの場所にあり、3/12日に起きた1号機の水素爆発後に20km圏内に出された避難指示で、職員全員が避難しました。
高電圧の設備もあって無人では運用できない為、同日午後8時前に停波してしまいました。
標準電波を受信できなくなった電波時計は、単なるクオーツ時計としてしか動きませんので、1カ月あたり15秒程度の誤差があり、停波後は数日に1秒ずつズレが生じている可能性があるようです。
折角の電波時計も、数百円で売られているデジタル時計と同じ誤差になってしまったわけです。
時計メーカー各社には、時刻が校正されないという苦情が毎日寄せられているそうですが、原発問題が解決しない限り、電波時計の精度も復旧する見込みはなさそうですね。